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第16回 景気循環と米国発金融危機
 

サブプライムローン問題に端を発した今回の金融危機は各国の実体経済に波及し、先ごろワシントンで先進国に新興国も加えた20の国・地域の首脳が集まって「金融サミット」が開催されました。

これからこの金融危機がどのように展開していくか予断を許さないところですが、景気には良いときと悪いときがあります。そこで今回は景気循環といま全世界を吹き荒れている金融危機について考えてみたいと思います。

景気循環とは、経済全体の活動水準である景気において、循環的に見られる変動のことであります。つまり経済は景気において山あり谷ありの波があり循環的に変動するというものであります。景気拡大の最高点が山で後退局面の最悪時点が谷で、谷から谷までが1循環とされています。また この景気循環の波には主に企業の在庫変動に起因する比較的短い周期の循環から、中期波動と呼ばれる10年周期の循環、住宅や商工業施設の建て替えサイクルが約20年に相当することから20年周期の循環、長期波動と呼ばれる50年周期の波があります。今回の金融危機がこの景気循環にどのような影響を与えるか予測のつかないところですがFRB(米連邦準備制度理事会)の前議長グリーンスパンをして“百年に一度の大津波”と言わしめています。 ところで我が国の場合、景気の判断及び景気循環の判定は、内閣府が発表している景気動向指数を用いて景気の局面を判断するのが一般的であります。下表は戦後の主な景気拡大期を表したものです。


戦後の主な景気拡大期
昭和29年11月〜昭和32年6月 31カ月 神武景気
昭和33年6月〜昭和36年12月 42カ月 岩戸景気
昭和40年10月〜昭和45年7月 57カ月 いざなぎ景気
昭和61年11月〜平成3年2月 51カ月 バブル景気
平成5年10月〜平成9年5月 43カ月  
平成11年1月〜平成12年11月 22カ月 IT景気
平成14年1月〜    

平成14年から始まった今回の景気拡大(平成19年10月〜12月に後退局面に入ったと言われている)は「いざなぎ景気」を上回る戦後最長の景気拡大期といわれましたが意外とその実感がないような気がします。「いざなぎ景気」の時は東京オリンピックが終わり近代国家へ脱皮しつつある時期で、経済成長は2ケタ成長、車・クーラー・カラーテレビなどいわゆる3Cが手に入り好景気を肌で感じた時代でした。一方 今回の景気拡大は、モノからサービスへの質的変化、成長率も2%前後、賃金も物価も上がりませんでしたから景気拡大といってもそれほど好景気を実感するまでには至らなかった気がいたします。景気が良いと実感する要因は何かというアンケートによりますと、会社やお店の業績が良い、それに伴って自分や家族の収入が増えることが実感の第一位でした。それとともにマスコミの影響によるものが大きいと答えています。連日景気後退の情報ばかり流れますと皆が景気後退と思ってしまいます。やはり与えられた情報でムードは大きく変化します。

景気循環と今回の金融危機について考えてみましたが、確かに今回の危機の影響は決して小さくないと予想されます。しかし この危機はこれまでの経済を見直す良いチャンスではないでしょうか。景気回復には相当の期間を要すると思いますが、景気後退の後には必ず景気拡大がやって来ると信じて、そして景気は“気”の持ちようで明るくなると信じて、景気に左右されないオンリーワン企業を目指して景気の波に立ち向かいましょう。

イメージ先般 東京のデパートで手づくり洋傘の実演販売を見ました。従業員10数人の地方の洋傘メーカーですが創業は1972年だそうです。しかし近年はアジアからの低価格製品の流入等で国内メーカーは減少の一途をたどるなか、同社は傘を閉じるとき残った水滴をはじき飛ばせる傘を開発しました。開発のきっかけは「今の傘は水切れが悪く、電車や車に乗ると服や車内が濡れてしまう」というクレームからでした。傘の素材は超撥水性の高密度ポリエステル、骨はカーボン、骨数は12本と通常より4本多くしっかりしたものでした。値段は3万円と決して安くありませんが3万円は最安値で数十万の傘も売れるそうです。たまたまそこでは色別に1,2本の在庫を置いていましたが傘を買うためには3〜5カ月待ちということでした。市場を絞りお客様の苦情(真のニーズ)からの商品開発、まさにオンリーワン企業の存在は円高、株安、景気後退、金融危機にも動じない経営戦略を学び取った感じがいたしました。

 執筆者の紹介
廣瀬 丈久(ひろせ たけひさ)
株式会社清水地域経済研究センター 顧問
 
 
【お問い合わせ】
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〒424-0817 静岡市清水区銀座3番5号
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